障害者グループホーム東京都加算制度の見直しに関する要望書 2018 年 8 月 21 日
公開日: 2018年9月7日金曜日
2018 年 8 月 21 日
東京都福祉保健局 障害者施策推進部 部長 松山 祐一 様
大田障害者連絡会 代表 山田 悠平
障害者グループホーム東京都加算制度の見直しに関する要望書
日頃より障害福祉の推進をいただきありがとうございます。大田障害者連絡会は、1995年から障害種別を超えて障害当事者、家族、支援者らで構成する東京都大田区の障害者団体です。
障害当事者が地域で安心して暮らすためには、グループホームは欠かすことのできない社会資源のひとつです。 近年、大田区においてはグループホーム設置の助成をはじめ、官民一体となった地域資源の拡充に努めているところです。また東京都におかれましては、国に先駆けて知的障害者生活寮制度、精神障害者福祉ホーム制度、重度身体障害者グループホーム制度と、次々に独自の施策を生み出し、全国の先進的な役割を果たしてきました。これは現在の障害福祉の礎ともなっており、大いに評価されるものです。また 2006 年、国の障害者自立支援法(現:障害者総合支援法)の施行による「日払い制度」の導入にあたっても、東京都は障害福祉の水準を下げないために、実質的な「月額制」となる加算制度を導入し、その後のグループホーム運営を支えてきました。
さて、本年1月31日に開催された東京都の説明会において、都のグループホーム制度の補助金の減額が示されました。また、国の報酬改定の影響も合わせると、運営に係る収入の減額はさらに大きくなり、地域でグループホームを運営する法人から困惑の声が聞かれます。当会として、以下の点を要望申し上げます。
<要望趣旨>
(1)障害者グループホーム加算制度の見直しにあたっては、すべてのグループホームを対象とした実態調査と、運営法人と利用する障害当事者及び家族や障害者団体らとの協議を早急に行ってください。
(2)今回の障害者グループホーム東京都加算制度(実質的な「月額制」)の見直しを中止してください。
<要望理由>
今回の改定理由として、 「強制的に週末などに実家に帰らせている」など、障害当事者や家族のニーズをないがしろにしているといったことが挙げられています。確かに、一部には、運営や支援体制の脆弱さから、週末に実家に帰ることを依頼しているところはあるようです。しかし、本人の希望に基づき、週末実家に帰るケースの方が多いと聞き及んでいます。そもそも日々の過ごし方を制度によって縛られてしまうことがあっていいはずがありません。個々のニーズに合わせた日常生活の営みが保障されるべきです。例えば、地域生活をめざすには、実家からグループホームに緩やかな移行が必要な人もいます。今回の見直しは、とりわけ障害の重い障害当事者の地域生活を疎外することに繋がりかね
ません。 他方で、週末だけでなく、連休や年末年始、通所先の休業などにも常に対応して、日中の入居者の生活を支えているところも多くあります。多くのグループホームは、自立支援給付費と東京都補助金(加算)などの公費を主な財源とし、支援体制を確保しています。しかしそもそも国の報酬水準は十分な支援体制を組めるものではなく、少ない常勤職員と多くの非正規職員によって支えられています。この体制の中で、夜勤、宿直、休日の日中支援、通院同行や関係者会議、連携調整に走り回っています。それは昨今の福祉人材の不足により、さらに厳しさを増しています。
このような実態を詳らかに把握せずに、まるで一面的な実態のみで制度改定の根拠とした節には疑問を感じずにはいられません。現行の都加算の減額は、運営に大きな影響を及ぼし、経営努力だけでは対応は困難です。人件費に充てる資金が減ることは、職員の非正規化、過重労働を招きかねず、ひいては入居する障害者の支援力の低下に繋がり、障害当事者の地域生活の不安定さにつながりかねず、大いに憂慮しています。
以上
<連絡先>
大田障害者連絡会 事務局 黒田
東京都大田区西蒲田 1-19-19-102 とちの実内
TEL/FAX 03-5700-4533
Mail daishouren1995@gmail.com
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