障害者権利条約政府報告のパブリックコメントを提出しました

公開日: 2016年2月16日火曜日 パブリックコメント 報告

大田障害者連絡会(大障連)は、障害者権利条約政府報告のパブリックコメントを提出しました。


政府報告は、法律の整備状況を中心に現状を肯定的に描くことにのみに注力している印象が強かったです。


政府報告には、障害者の置かれている現状についての課題を書くこともできます。
が、一切なかったと言ってよいと思います。


第35条4項
報告には、この条約に基づく義務の履行の程度に影響を及ぼす要因及び困難を記載することができる。(日本政府公訳)


また、先に内閣府の招請で来日した国連障害者権利委員会の前委員長のロン・マッカラム氏は、
「良質な報告書とは?」との問いに、「正直さ」と答えたといいいます。


今回の政府報告に、「正直さ」があるでしょうか。
政府報告のリンクは、こちらです。


以下は、大田障害者連絡会のパブリックコメントの文面です。
よろしければご覧ください。


障害者権利条約の政府報告に関するパブリックコメントを実施されたことにまずは、御礼申し上げる。
全体にわたり、日本の法制度の紹介で終わっており、権利委員会のガイドラインが求めている内容とは程遠いものとなっている。ガイドラインは、その国の障害者の生活状況の課題がわかるようにすることが求められていると理解している。その点を特に意識して、地域の障害者団体として意見申し上げる。意見に対する理由が特に明記されていない箇所はこの理由による。

該当箇所 
段落 8 (障害者の状況等を踏まえて計画策定を義務付けている‐)
意見
各市町村のうち、94.8%が障害者計画を策定しているとのことだが、各市区町村が当該地域での障害者の現状を踏まえるにあたり、各市町村でどのような対応を政府として推奨しているか、また実際の各地域での取り組みへの具体的言及が、障害者権利条約前文(o)の履行確認のため必要と考える。
あわせて、個人への聞き取りを手帳保持者への郵送でのアンケートを実施している行政区もあり、ヒアリングを行う障害者の対象を手帳所持者に限ることは、いわゆる手帳主義に基づく方法で、障害者権利条約の前文(e)や第1条の定義からする障害当事者の声を実質的には包摂しない方法が取られているなど、課題の言及が必要と考える。

該当箇所
段落 30 (障害者政策委員会)
意見
政策委員会には、精神障害、知的障害、難病の障害当事者は参画していない。本人及び家族という併記をせずに、障害種別ごとに障害当事者と家族を別々にし、参加人数の具体的な記述が望ましいと考える。


該当箇所
段落38 (障害者差別解消法の諸規定)
意見
(1) 法の条文根拠の記述がない。該当条文を列記すべきと考える。
(2) 障害者差別解消支援地域協議会は、設置に関して行政区の任意規定であることの記述が必要と考える。
(3) 障害者権利条約5条2項の「差別に対しても平等かつ効果的な法的保護を障害者に保障する」とあるが、差別事象に対しての救済機関が設けられていないことへの課題への言及が必要と考える。

該当箇所
段落46‐54 (意識の向上)
意見
(1) 取り組みに対して、意識の向上がどの程度が図れたかの統計を出すことでより、効果を具体的に証明できることが重要と考える。


段落83(成年後見に関する障害者政策委員会の指摘)
意見
(1) 大変意義深い記述である。
(2) 日本において21世紀に入り、導入された成年後見制度は、世界の潮流からすると逆行している。政府として、成年後見制度についての方針を記述すべきである。

段落93(警察官の障害者への取り調べ)
意見
(1) 安永健太さんの事件などを参考に、政府として認知する具体的課題を記述することが望ましいと考える。

段落94-99 (司法手続きの利用の機会、刑法39条の取り扱いに関して)
意見
(1) 刑法39条があることにより、該当要件にあてはまると罪を償う機会を担保する機会を奪われている。これを課題として記述することが望ましいと考える。

段落105-106(精神保健福祉法及び医療観察法)
意見
精神保健福祉法にかかる国内の議論をしっかりと報告すべきである。以下2点は特に求めたい。
(1) 自傷他害の「おそれ」という予見で人間の自由を制限することは、14条の精神に反するものである。
(2) 医療観察法における入院は、社会復帰を想定としていることとは別に、事案に相当する懲役刑以上の事実上の収監が行われていることは、他の者との平等という観点で問題がある。

段落110(虐待防止法)
意見
(1) 虐待防止法の救済の適用範囲に病院、学校が含まれていないことを明記すべきである。

段落123(地域生活)
意見
(1) 障害者(少なくとも手帳保持者)がどのような生活を送っているかの統計調査を明示すべきと考える

段落143(精神科病院での通信について)
意見
(1) 精神科病院においては、携帯電話の持ち込みに制限があるところが多い旨報告すべきと考える。また、に他科では携帯電話の持ち込みは、医療設備に支障がある場合は除き、制限がある時代ではないにも関わらず、また本人の状態の考慮ではなく、通信の権利を一律的な規則で奪うことに正当性に疑義があることも明記すべきである。

段落148(離婚条件―民法770条)
意見
(1) 民法770条の4項についての規定が国内法にあることを報告すべきと考える。
(民法770条四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。)

段落175(特例子会社の記述)
意見
(1) 障害者の雇用実態として、特例子会社に関する記述も含めることが望ましいと考える。


以上です。


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